都市木造がつなぐ森とまち

地域プロジェクト 第16回
都市木造がつなぐ森とまち
竹中工務店、「森林グランドサイクル」の取組み

 

10階建て木造ハイブリッド建築 三菱地所「PARK WOOD高森」

 2019年2月、仙台市郊外に日本初の木造ハイブリッド構造による10階建て集合住宅が竣工しました。大分県日田地域ほか国産の木材を柱、床、壁など建物構造の一部に使用しています。 
 従来鉄とコンクリートのみでつくられてきた都市部の建物でも、近年の様々な技術革新、法改正により木造で建てることができるようになりました。(株)竹中工務店では日本の木で都市に木造建築を建てることで、森とまちをつなぐ「森林グランドサイクル」活動に取組んでいます。

都市に木造建築を建てる

国産木材を用いた柱、床、壁 三菱地所「PARK WOOD高森」

今日本の森林は本格的な利用期を迎えています。伐採可能な森林資源量はこの50年間で5倍にもなっています。少子化で低迷する住宅需要に替わって新たな木材利用の担い手として期待されているのが、都市部に建つ中高層木造ビルです。当社では耐火集成材「燃エンウッド」をはじめ、都市の中高層木造建築を支える様々な技術開発を通じて国産木材利用を進めています。都市における新たな木材需要が森とまちを結ぶ資源と経済の循環を促します。

「森林グランドサイクル」の取組み
 「PARK WOOD高森」を支える構造には大分県日田地域産のスギを用いました。地域の林家から直接山の木を購入することで、流通コストを抑えながらより多くのお金を山へ還すことが可能になります。伐採後の山林にプロジェクト関係者が出向いて植林をするなど、「顔の見える」木材流通は地域と都市をつなぐ新たな絆になると考えています。

伐採後の山林への植林(大分県日田地域)

森林と社会における大きな資源と経済の循環を「森林グランドサイクル」と名付けて活動しています

和歌山県田辺市で開催した 「キノマチ会議」の様子(2019年10月3日~4日)

持続可能なまちを、木でつくる
 日本の木を使った持続可能なまちづくりの在り方について、地域や林業・製材業に携わる方々とともに考えるために「キノマチ会議」に参加しています。都市木造を支える地域の林業・製材の現場を訪れ、みんなで課題解決に取組む試みです。

竹中工務店では中高層木造建築をはじめとする森林資源活用を通じて、皆様とともにこれからも地域の森林再生、林業活性化に貢献していきます。

 

関連情報
▼竹中工務店ホームページ
森林グランドサイクルへの取組み:
https://www.takenaka.co.jp/solution/needs/design/service23/index.html

都市木造の事例紹介:
https://www.takenaka.co.jp/mokuzou-mokushitu/index.html 

NPOグリーンズホームページ
キノマチ会議:
https://greenz.jp/project/kinomachikaigi/

(株式会社竹中工務店 木造・木質建築推進本部副部長 宮崎賢一)