防災拠点向けに蓄電池と太陽光発電を組み合わせたソリューション

地域プロジェクト 第10回
防災拠点向けに蓄電池と太陽光発電を組み合わせたソリューション

 3月23日、三陸鉄道が全線開通し、翌24日より「リアス線」として営業運転が開始された。東日本大震災の発生からここまでに8年の月日を要したことになる。
壊滅的な被害を受けた東北地方各県での復興に向けた取り組みは、一歩ずつ歩みを進めているもののまだまだ継続中である。
 NECフィールディングは、コンピュータやネットワークの保守・運用業務を行っている関係で、復興に伴う電源設備の設計・施工などを手掛けている。
 東日本大震災後、BCP(事業継続計画)対策として電源確保のニーズが急増したこともあり、当社の電源設備の設計・施工ノウハウを活かして、BCP対策として太陽光発電システムや蓄電池をはじめとする非常用電源の事業を行っている。
 今回、当社の災害対策に関連する事例を紹介したい。

<事例1>神奈川県立相模三川公園への太陽光発電と蓄電池システムの導入
 神奈川県では県立都市公園の防災対策として公園への太陽光発電および蓄電池の整備に取り組んでおり、その取り組みの1つとして、海老名市にある県立相模三川公園のパークセンターに設置する運びとなった。
(※蓄電池システムはNECより寄贈、NECフィールディングにて設計、施工。)
 発電電力10kWの太陽光発電設備と容量 5.53kWhの小型蓄電池により、施設内(ホール、トイレ)のLED照明と事務用PCの電源を確保するシステムを構築した。NECグループは神奈川県内に複数の事業所を有しており、同県との連携ができた好事例となった。
【参考】
  https://jpn.nec.com/press/201307/20130716_02.html

<事例2>「奥河内くろまろの郷」への太陽光発電と蓄電池システムの導入
 東日本大震災の後、政府は「再生可能エネルギー等導入推進基金事業」(グリーンニューディール基金制度、GND)を創設した。これは地方自治体が防災拠点を設置する際の再生可能エネルギー導入を支援する制度で、対象となる自治体に対して総額1,400億円の補助金交付を行うものであった。(2011年度~2017年度)。
 NECフィールディングは、本基金の特性を活かし地元の設計会社等との連携し、各自治体の防災拠点や避難所、消防署などに向けた蓄電池および太陽光発電設備の設置を行った。
 1つの事例として「奥河内くろまろの郷」へのシステム導入がある。「奥河内くろまろの郷」は大阪府河内長野市にある道の駅である。本事例ではビジターセンターに対して災害時に避難所として利用する目的で発電電力10kWの太陽光発電設備と容量15kWhの蓄電池を組み合わせたシステムの設計、施工を行った。

<今後>風力、バイオマスなど多様な再エネと蓄電池の組み合わせにも挑戦へ
 東日本大震災後、2016年4月には熊本地震が、そして昨年9月には北海道胆振東部地震が発生しており、災害時への対応が各地域で益々望まれている。
 当時は太陽光発電と蓄電池の単純な組み合わせが主流であったが、より地域の特性を活かした風力やバイオマス、小水力といった他の再生可能エネルギーとの組み合わせや、エネルギーマネジメントシステムやブロックチェーン技術などのICTシステムを導入することにより、よりレジリエント(強靭)な地域社会を構築できると考えている。
 本協会の活動を通じて、このような取り組みを1つ1つ実現することが、我々の夢であり使命であると考えている。

(NECフィールディング株式会社 ファシリティ事業部 環境エネルギーサービス部マネージャー 戸田康志)