エネルギー自由化と地産地消ビジネスモデル

地方創生コラム 第8回
エネルギー自由化と地産地消ビジネスモデル

 エネルギー自由化とパリ協定遵守は実は相反する。いかに脱炭素型のシステムでビジネスとしてキャッシュフローが出る形にするか。原子力で一定の安定電源を確保し、再生可能エネルギーを固定価格買い取り制度(FIT)から早期に経済的に自立させ主力電源にすることが現実的な解と考えられる。国が目標とする2030年の電源構成における再エネの割合24%は十分達成可能だ。
 再エネの主力電源化には気象に左右される変動成分の制御が不可欠だ。電圧と周波数を一定規模に保たないと停電につながるからだ。余剰発電分を蓄電池に、もしくは水素に換えて蓄える、揚水発電と組み合わせるなど割高になるコストも勘案し経済自立化を図らなければならない。
 その解のひとつがエネルギーを地産地消するビジネスモデルだ。街区の中で風力、メガソーラーや蓄電、水素変換を組み合わせ、熱電併給システムも整備して熱導管や自営線でつなぎ、エネルギー需要をデジタル技術できめ細かく制御する。IoTでつながる機器を制御して、余剰が発生するときは氷など必要なものをつくる指示を出して需要を上げるなど、発電と消費の同時同量を目指す。
 こうした取り組みを進めることで、30年度にはエネルギー需要の3割程度は地産地消型エネルギービジネスモデルで賄うことができ、需要の動向が大規模電源に影響を及ぼさないグランドデザインが完成する。ネットワークにつながる機器からもたらされるビッグデータを活用した付加価値ビジネスも多彩に考えられ、日本の経済発展にも大きく貢献するだろう。。

(日本サステイナブルコミュニティ協会 代表理事・副会長/東京工業大学特命教授 柏木孝夫)