化石燃料削減は分散型熱電併給の拡大が不可欠

地方創生コラム 第14回
「化石燃料削減は分散型熱電併給の拡大が不可欠」

パナソニック産機システムズ株式会社 空調営業本部 空調マーケティング
統括部 統括次長 杉原充

 再生可能エネルギーの可能性を考え、現地の発電施設などを見学する「奥飛騨・高山フォーラム&ツアー」という催しが72-3日、奥飛騨温泉郷で開かれました。
 村上敦さんの基調講演では、エネルギーの効率を説明されるのに、ガソリン車の事を話されたことは大変印象深いです。効率は10%台との事ですが、自家用車をこれだけ当たり前に使っていると、燃費の事ぐらいしか認識はしていませんでした。改めてエネルギーの無駄遣いに真摯に向き合う事が大切だと教えられました。
 2030年に向けて、再生可能エネルギーの発電比率を現在の16%から22-24%に増やし主力電源へとすることに大きな期待が高まっていますが、
原子力は20-22%20世紀の流れを今も引きずる形になっています。しかし、今の技術力と国民感情からすると、無理だと感じています。
 経済を最優先に掲げている日本は、ならば化石燃料に委ねるのか? それは国際的に見てもあり得ない話です。しかし、実現可能な施策は大型電源設備から分散型電源への移行であり、発電のみならず熱電併給へのシフトです。これにより、発電効率は一次エネルギー換算で35%程度から45%へ10%向上しますが、廃熱を使ってさらに30%以上向上すれば、化石燃料使用量を目標値以下に簡単にすることができます。
 2030年の化石燃料の電源構成目標が56%で発電効率が35%ならば、仮に原子力の22%分を化石燃料で代替せざるを得なくなり、電源構成が1.4倍の78%になったとしても、35%だった発電効率を1.4倍の49%にすることができれば化石燃料の使用量を増やさずに原子力を代替できます。
 さらに化石燃料使用量を減らすには廃熱利用をすれば可能であり、分散型熱電併給の拡大が不可欠と確信できることを教えられました。
 熱利用の重要性をもっと見直さなくてはならず、国や自治体の支援が不可欠です。
 特に課題なのは熱利用のインフラ整備となり、冷暖房と給湯のセントラル配管が集合住宅、非住宅ビルなどに強制的に組み込まれる制度化が必要と感じました。ヒートトランスなどの技術使って熱利用の拡大もしてもらいたいと思います。

 奥飛騨温泉郷では錦鯉やスッポンの養殖に熱利用がされており、可能性の広さを見ることができたのは、大変参考になりました。生き物、植物などの情報を持つことも必要だと感じています。
 地熱バイナリー発電は燃料費がかからず、24時間365日発電可能なのは大変魅力的に見えました。第2発電所建設予定地から噴き出している蒸気を見ると地熱の凄さを見せつけられました。現地で見ることの大切さを改めて感じ、参加してとても良かったと考えています。

 (パナソニック産機システムズ株式会社 空調営業本部 空調マーケティング 
統括部 統括次長 杉原充)